本文へスキップ

歯の動揺度や歯周ポケットの測定によって歯周病の改善効果を解説しています

電話でのお問い合わせは072-881-7314

第50回日本口腔衛生学会一般口演演題の原稿PRIVACY


  • 過日平成13年6月11日〆切の 第50回日本口腔衛生学会一般口演演題の原稿です。
  • 会期は平成13年9月29.30日愛知学院歯学部で行われます。
  • 小生は9月29日 D会場9時40分-9時50分の予定です。
    興味ある方はご参加下さい。
    原稿の棒読みですので,おもしろくないと思います。
  • 質問は発表が終わって会場を出る時にお願いします。
  • 試供品の請求依頼はお断りします。導入コースを注文して下さい。
  • 9月22日,23日札幌で行われる第16回保団連医療研究集会では13.4/14大阪保険医協会主催『日常診療交流会』で発表した症例と織り交ぜて発表しますので,もっとわかりやすいと思います。
  • 会場で,北海道,東北のユーザーと懇談します。興味ある方は参加して下さい。

Wood Pyros歯磨液による歯周疾患改善効果の検証と有効性について

O- 20    Wood Pyros歯磨液による歯周疾患改善効果の検証と有効性について

     ○岡野吉喜  井村久史*
     岡野歯科医院 * 医療法人南労会松浦診療所歯科

  • 要約 : Wood Pyros歯磨液は柿渋を主要薬効成分とする歯周疾患改善を目的とした歯磨き剤である。研磨剤を混入していない,食品であるという利点により,長期連用に耐え得るものである。柿渋の特性である蛋白凝固反応で,可及的にポケットの起炎物質を取ることを治癒機序としている。
    今回歯周ポケット値6ミリ以上の歯周疾患を持つ患者さん51人,対象歯牙本数191本にWood Pyros歯磨液による歯磨きを試みた。回復歯群と検査回数群という分類方法による解析により,改善効果のあることを検証することが出来た。(索引用語 : 歯磨き剤,歯周疾患,柿渋)
  • 目的
      6ミリ以上の歯周ポケット値を持つ歯牙は複雑な治療が必要であり,深部のスケーリングや掻爬,あるいは外科的処置が必要とされ,ほとんどの場合患者は治療のため歯周専門医に紹介されるべきであるとされている。そういう歯牙に対し,Wood Pyros歯磨液による歯磨きだけで歯周ポケット値の改善が出来るか試みた。

対象および方法

  • 対象および方法
    対象
     6ミリ以上のポケット値を持つ歯周疾患患者51人,対象歯牙本数191本。
    ポケット測定方法
     一点法で全周の一番深いポケット値を測定値とした。
    使用方法 : Wood Pyros歯磨液の使い方(使用条件)
    液量: 1ヶ月で 30・--120cc 時間: 2-- 4分 回数: 一日1-- 3回 部位: 歯頚部及び辺縁歯肉
     データの悪い部位は歯周検査の際指摘し,歯ブラシの当て方(横磨き)を指導した。歯周外科,SRPはしていない。簡単な縁上,縁下歯石除去は検査日に行った。
    結果及び考察
     検査回数による分類(表  検査群)と来院中断するまでの期間の最良ポケット値による分類(表 回復歯群)方法による解析を試みた。
     5回検査群の表でわかるように,3回目検査以降のデータが4.5ミリで変化しない( 表 5回検査群)。また母集団が減少している。これはWood Pyros歯磨液の使用で良くなると来院中断するので,母集団での良好なデータが経時的に減少するためと,重度でなかなか改善しない歯周疾患患者データが居残っているため,母集団としては,いびつな構成になっている。検査回数が多くなるにつれて,母集団は完治しない人のデータの集まりという状態になっている為である。このため,検査回数群での評価はWood Pyros歯磨液の改善効果を表現するのに不適切で,十分とは言えない。
     改善効果をわかりやすく効果的に表現するために,最良ポケット値による分類を行った(表 最良ポケット値による分類)。2ミリ以下回復歯群とは対象歯牙191本のうち初診時平均ポケット値6.86ミリを持つ35本の歯牙が,Wood Pyros 歯磨液使用中ポケット値2ミリ以下まで回復した事を示している。回復歯率とは対象歯牙191本中18 % がポケット値2ミリを示すまで回復したことを表している。 3ミリ以下回復歯群とは,ポケット値3ミリ以下(ポケット値2ミリを含む)を示した歯牙が191本中83本あり,これを回復歯本数としている。ポケット値改善目標値を4ミリとするのであれば,191本中122本(64%)が回復出来る事を示している(表 4ミリ回復歯群)。参考として, I 氏の初診時の歯周基本検査値とWood Pyros歯磨液使用後の検査値を載せた(表  I 氏歯周基本検査表)。
     以上の結果から,柿渋を主要薬効成分としたWood Pyros歯磨液という歯磨き剤は,歯周疾患の改善効果を有することが明らかになった。歯頚部及び歯肉乳頭部を横磨きで,きれいに磨かないと良いデータが得られない事もわかった(縦磨きでは効果なし)。この結果は一般の人はもとより,高齢者,寝たきり,入院患者,糖尿病患者にとっても有用と考える。対象者の中には糖尿病,骨粗鬆症,喫煙者の人もいるが,改善効果の妨げにはならなかった。


Wood Pyros歯磨液による歯周疾患改善効果の検証と有効性について

  • 連絡先    岡野吉喜, 〒571-0011 大阪府門真市脇田町17-1, 岡野歯科医院
        電話 : 072-881-7314 FAX : 072-881-7314
  • 5ミリ以下回復歯群の表にあるように,対象歯牙191本のうち初診ポケット平均6.79mmであった158本の歯牙が5ミリ以下まで回復したことを表現しています。191中82%の158本がなんとか保存可能というレベルまで回復出来ています。
  • 通常安全圏とされる3ミリ以下では,対象歯牙191本のうち初診ポケット平均6.61mmであった83本の歯牙が3ミリ以下まで回復したことを表現しています。44.5%の確率で回復可能だということです。

Wood Pyros歯磨液による歯周疾患改善効果の検証と有効性について

対象歯牙本数191本

  • 初診時の対象歯牙本数191本が検査回数が増えるたび毎に減少したことをバブル図で表したものです。2回目は勿論191本です。2回目の検査時に早くも2mmが出現した事がわかります。2mmの本数が増えないのは,患者さんが良くなったと判断して検査回数の増えるにつれて,Wood Pyros歯磨液の使用中断され,母集団から改善した人が抜け出ている為です。このため,平均値で説明することは実状を正しく反映しておりません。集計表を載せておきます。
  • 「歯磨きするのはなんのため? 虫歯予防のため?  虫歯治療が済んだら,虫歯に気をつけなくて良いのかな?  歯磨きと同じように,歯槽膿漏予防もする必要があるんだけどな」と言っても馬の耳に念仏で使用中断されるのは残念な事です。
  • 加齢により,悪くはなっても良くは成らない歯周疾患にあって,抜歯することなく,ここまで保ち得た事はWood Pyros歯磨液の成果であると思います。出血で判定するなら,もっと良いデータを提示出来ましたが、インパクトに欠けるきらいがありますので,あえてポケット値でWood Pyros歯磨液の効果を表現した次第です。これでは分からないという人の為に,一人の患者さん K 氏 のデータを載せました。
  • インターネットで御覧になる方はデータ集を見て下されば,Wood Pyros歯磨液の効果の程が実感出来ると思います。また,13.4/14大阪府保険医協会主催『日常診療交流』の発表も効果の程が実感出来ると思いますので参照して下さい。