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歯周病で歯槽骨吸収された歯をどうやつて救うか? - 力学的観点からの考察

(テーマ)歯周病で歯槽骨吸収された歯をどうやつて救うか? - 力学的観点からの考察

  • -------まえおき
     歯周疾患に犯された歯をどうやって救うかという問題解決のためには,
  • 「1-歯垢清掃指導や歯石除去メンテナンスや薬物療法」と共に,
  • 「2-咬合性外傷治療」も絶対に必要な治療の一つである。
  • 「1-歯垢清掃指導や歯石除去メンテナンスや薬物療法」だけで歯周病治療は解決しない。
  • 両者が満足されることによって歯周病は快方に向かう。
  • 「2-咬合性外傷治療」は力学的考察が必要な分野であるのに数理学的解析が十分になされておらず,臨床医として困っていた。患者さんに説明するときもデータを明示して治療説明をするのではなく,いわゆる総合的包括的診断により,治療方針を決定し,説明していた。いわば勘で治療方針を立てていた。長年の臨床経験で勘も馬鹿にはならないが、できればデータも添えて説明したい、という淡い思いは以前からあった。この淡い思いが偶然Rosenstielの論文で触発されようで歯周病学をできるだけ数理学に解明したいという思いにこの歳(60歳)になって駆られている。
  • 「2-咬合性外傷治療」については、あまりマスコミで言われていないので困っているが,患者の皆さんに分かって頂きたいこと(分野)の1つである。
     
  • 歯に関する意識レベルの向上と共に,生涯自分の歯で食べたい,入れ歯は絶対イヤという患者さんの強い要求に応えるために,我々歯科医は日夜苦悩している。その苦悩の一端を垣間見,同情して頂ければ幸いである。
  • 近年歯に関心の強い患者さんは専門書を好まれる傾向が強いので手加減することなく書いた。分かりにくいことがあればFaxで教えてもらいたい。読んで頂くために,理解して頂くために書いているので遠慮しないでもらいたい。小生の疑問に応えて下さる方々にテーマの意義を分かって頂くためには,手加減を少ししているけれど,出来るだけ専門的に書いた。尚,このレポートは小生が主宰するWoodpyros club会員向けレポートを参考にしている。
  • ------目的と意義
     歯周疾患によって支持組織を減じた歯牙に過度の荷重負担を課せば骨吸収はさらに進む、ということは咬合性外傷という単語で認知されている。歯槽骨吸収の進んだ歯牙の荷重負担能力をどう評価すればよいか?という目安(評価指数=言語)がなかった。このため,減少した支持力を補うために連結を何本にすればよいか?Brの支台歯数を何本にすれば安全か,を語る言語がなかった。この言語(指数)を歯根表面積に求めれば,『単独歯であれば不安ではあるが,連結すればこれくらいの歯根表面積があるので,この症例は十分咀嚼加重に耐えられるだろう』と比較検討できる言語がなかった。
     今回歯根表面積を計数的に求め,この算出式によって誰もが簡単に歯根表面積をミリ単位で求められ,活用でき,共有できる言語としたいという思いが募った。
     とにもかくにも,『歯根表面積は歯牙の支持力と単純比例する』とすれば,患者さんに『あなたの歯根表面積はこれこれです。あなたの歯を残し守り支えるための歯根表面積はこれこれ必要です。ですから◯本連結させて下さい。』と説明できる。患者さんも歯科医と同等の言語(=歯根表面積)によって荷重負担能力の評価をすることができるので,『現状ではこの歯の単独歯は危険である。連結歯にする必要がある。』という共通認識に立てるので納得しやすい。これからは支持力が◯%と1歯ごとに表記される検診表もできると思われるし,またそうでなければならない。患者さんが診断や治療方針に参画できるような判断データを提供すれば,治療意欲や歯周病予防意欲も湧く。その一助となれば幸いである。
  • ------本題
     歯が存在出来る,咀嚼でき,役に立つ条件はどのようなものであろうか? それについて述べられた文献を手にしていないので,支台歯の条件を適格歯牙とした。ブリッジの歯牙は単独歯牙と異なり,自己の負担荷重ばかりでなく,欠損歯牙の負担荷重を背負うので適格条件は単独歯牙に比べ厳しくなる。しかし,ブリッジの支台歯になる歯は隣接が欠損しているので半単独歯(半孤立歯)であり,やがて隣接歯と歯間に隙間が出来,孤立歯の道を歩む。そうなると孤立歯の環境も厳しいので,やがて脱落してしまうだろう。
  • --------定義(by yoshiki Okano 2007.10.10)
    1-単独歯....両隣に歯が存在していて,両隣在歯と接触を保っている歯。
    2-半孤立歯...どちらかの隣接歯がない場合の歯。
    3-孤立歯...両隣に歯がなく,ぽつんとひとり存在している歯。( 両隣に歯があっても歯と歯に隙間があって接触がない歯牙も孤立歯と   する。)      
  • ------目的と意義
     歯周疾患によって支持組織を減じた歯牙に過度の荷重負担を課せば骨吸収はさらに進む、ということは咬合性外傷という単語で認知されている。歯槽骨吸収の進んだ歯牙の荷重負担能力をどう評価すればよいか?という目安(評価指数=言語)がなかった。このため,減少した支持力を補うために連結を何本にすればよいか?Brの支台歯数を何本にすれば安全か,を語る言語がなかった。この言語(指数)を歯根表面積に求めれば,『単独歯であれば不安ではあるが,連結すればこれくらいの歯根表面積があるので,この症例は十分咀嚼加重に耐えられるだろう』と比較検討できる言語がなかった。
     今回歯根表面積を計数的に求め,この算出式によって誰もが簡単に歯根表面積をミリ単位で求められ,活用でき,共有できる言語としたいという思いが募った。
     とにもかくにも,『歯根表面積は歯牙の支持力と単純比例する』とすれば,患者さんに『あなたの歯根表面積はこれこれです。あなたの歯を残し守り支えるための歯根表面積はこれこれ必要です。ですから◯本連結させて下さい。』と説明できる。患者さんも歯科医と同等の言語(=歯根表面積)によって荷重負担能力の評価をすることができるので,『現状ではこの歯の単独歯は危険である。連結歯にする必要がある。』という共通認識に立てるので納得しやすい。これからは支持力が◯%と1歯ごとに表記される検診表もできると思われるし,またそうでなければならない。患者さんが診断や治療方針に参画できるような判断データを提供すれば,治療意欲や歯周病予防意欲も湧く。その一助となれば幸いである。
  • 話を進めるたたき台として支台歯の条件を取り上げ、それを通して歯周疾患によって歯槽骨吸収した歯牙の保存(歯を残すこと)を如何にして図るかを考えてみよう。

支台歯の条件 歯周病で歯槽骨吸収された歯をどうやつて救うか? - 力学的観点からの考察 
  • 1:2 理想歯は歯根吸収のない歯。若い人のブリッジの支台歯はこのようなケースが多い。
  • 2:3 好適は,出来ればここまで,という所か。
  • 1:1 は限界。
  • ブリッジの支台歯として 比率1:1の歯が限界とするならば,連結を許されない歯はやがて脱落するだろう。そしてこの世は総入れ歯だらけになるだろう。部分入れ歯を入れて,「抜いてくれ」と言われるまで座して見守るだけなのか? そして歯が一本抜ける度に,新しい入れ歯に作り直すだけなのか? 確かに自然的ではある。「年だから...」という運命論者,諦観論者にはびったりの治療法なのかもしれない。
  • 単独歯として生きながらえるだろうか? 
  • 入れ歯の鈎歯(金具をひっかける歯)になれるだろうか? 
  • ブリッジの支台歯 として不適格なものが,孤立歯(両隣に歯がない歯)として耐えられるだろうか? 
  • どのような見解を基に支台歯の基準が定められたか分からない。 見解を知っておられる方がおられたら、教えて欲しい。算定根拠を明示して欲しい。
  • 1:1 限界歯よりも下にあり支台歯の条件としては失格と言うことか。
  • 1:2 歯根表面積は歯根の上1/3と下2/3の表面積が等しい。

歯周病で歯槽骨吸収された歯をどうやつて救うか? - 力学的観点からの考察

 

  • 1:1 限界の歯は歯牙の歯冠側と歯根側の中間に歯槽骨のレベルがある。これは歯根表面積2/3よりも条件が厳しい上のレントゲン写真を見ると、歯根長比1/2歯 や歯根長比1/3歯の単独歯がごろごろあり,驚くにはあたらない。
  • このまま「様子を見ましょう」と座して見守っていれば上顎の歯はすべて無くなってしまうだろう。現実にはブリッジの支台歯として1:1限界歯よりもより悪条件の歯を支台歯としてBrideを組み立てることの方が多い。このようなケースは何を目安にBr設計を行えば良いのだろうか?

歯周病で歯槽骨吸収された歯をどうやつて救うか? - 力学的観点からの考察

歯周病で歯槽骨吸収された歯をどうやつて救うか? - 力学的観点からの考察

 

  • 現実には2┳12をそのまま放置しておくと,当然のことながら歯は抜ける。歯間があいた歯は孤立歯として扱う。孤立歯は頬側,舌側,遠心,近心,どちらに倒れても支えてくれる歯がないので、歯周組織はダメージを受けやすい。
  • 支台歯に基準があるように,単独歯としての最低適格基準要項があってもよい。単独歯としての資格要項が不足すれば,現在動揺がなくとも連結歯にした方が良い。何本の連結歯にするかは算定式によって決め,強度不足になれば連結歯を増やせばよい。
  • すべての歯が健康な歯肉に戻った時には何本連結すればよいか?という設計があってこそ,最小限のブリッジや連結歯を実現できる。

    目安は評価基準があってこそ成り立つ。構造計算があってこそBr設計は成り立つ。

  • 動揺のある単独歯を連結することが多いが,歯周組織に炎症があるから動揺しているとも考えられる。過剰に連結歯の本数を増やすことは天然歯を出来るだけ残して欲しいという患者さんの要望と背反する。動揺のない歯が1本あってそれによって連結歯の動揺が一時的に止まったとしたら,動揺のなかったその歯も過重負担により動揺をきたすであろう。
  • この症例の場合,ブリッジすると歯周組織は回復する。┏3の歯周組織も改善が見られる。歯をつなげてブリッジや連結歯にすると快方に向かう。単独歯としては不安だが,連結歯にすれば大丈夫。この時の評価は単独歯と異なるはず。どう評価すれば良いのだろうか。
  • どうやって連結算定式を作るか?

 歯周病で歯槽骨吸収された歯をどうやつて救うか? - 力学的観点からの考察

  • Rosenstielは歯根の1/3が歯槽骨吸収にあうと,歯根表面積の半分を失うと主張している(2/3歯の場合)。歯槽骨が吸収されると歯根表面積が減少する。
  • 歯根長比率1:1歯槽骨吸収された歯は歯根表面積の1/2 を失うのではなく2/3失う。本来あった歯周組織の1/3しかない。レントゲン写真で歯根の1/2あるから大丈夫というわけにはいかない!!!。これは「歯根表面積の求め方」を御覧頂きたい。
  • 歯根表面積も支台歯の評価指標の1つになることがわかっていただけたと思う。
  • 歯槽骨レベルが下がると,側方力による回転軸も下がり,咬合による歯周組織のダメージが大きくなる。単独歯や孤立歯の場合,垂直力よりも水平力のダメージが大きい。歯根長比1/3の歯槽骨を失うと歯根表面積は1/2失うだけであるが,許容側方力は健全歯の20%となり,80%のパワーを失う。この状態で物を噛むとポロリと歯が抜ける。(脱臼してしまう) ----このことから,力学的観点からの指標も必要だということが理解して頂けよう。このことは「歯槽骨の深さと側方力の相関関係」で述べている。

終わりにあたって

  • -------ところで,こんな大きなことを言いながら小生は現在60歳。40年間数学していない。力学にもうとい。
  • I will hope to Voyage for unknown dental world with your advice and god's advice.!!!
  • みなさんの学力に大いに期待しています。小生のレポートを検分して下さい。
  • ホームページの内容に関する御質問も当院宛にファックスを送って頂きたい。
  • 電柱や杭に関する書籍が不足していて,1ページ目から理解できず苦しんでいる。関西電力にも相談したが,たいした成果は得られなかった。大阪や東京の書店を駆け巡ったけれど,自分の疑問に答えてくれる書籍はなかった。基礎の基礎,初っぱなの一般式の導き方が分からない。還暦過ぎて今更土木教室に行くのも気後れするし,入れてくれるかどうかも分からないし,相談に乗ってくれるかどうかも分からない。このことに関しては「教えてコーナー」に書いたので,皆さんの学識に期待しています。
  • ホームページを散見すると数学マニアが沢山いらっしゃる。どうかこの孤独な戦いを支援して欲しい。ヒントを与えて欲しい。間違いを教えて欲しい。書籍を紹介して欲しい。

制作著者情報

岡野歯科医院

〒571-0011
大阪府門真市脇田町17-1
TEL.072-881-7314
FAX.072-881-7395

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